煙感知器が誤作動する原因は?突然鳴ったときの確認方法と対処法を解説
建物内で突然、火災報知器のベルが鳴ると、
「火事が起きているのではないか」
「煙や炎は見えないけれど、誤作動なのだろうか」
「どのように警報を止めればよいのか分からない」
と、慌ててしまう方も多いのではないでしょうか。
煙感知器は、火災によって発生する煙を早い段階で検知し、建物内に異常を知らせる重要な消防設備です。
一方で、実際には火災が発生していなくても、湯気やホコリ、湿気などの影響によって作動することがあります。
このように、火災以外の原因で火災報知設備が作動することを「非火災報」と呼びます。
ただし、警報が鳴った時点で、すぐに「誤作動だろう」と判断するのは危険です。
まずは本当に火災が発生していないかを確認し、安全を確保する必要があります。
この記事では、煙感知器が誤作動する主な原因や、突然警報が鳴ったときの確認方法、
再発を防ぐための対策について、消防設備の専門会社が分かりやすく解説します。
工場・倉庫・事務所・店舗・共同住宅などを管理されている方は、ぜひ参考にしてください。
煙感知器とは?
煙感知器は、火災によって発生する煙を感知する設備です。
建物に設置される自動火災報知設備では、天井などに設置された感知器が煙を検知すると、
その信号が受信機に送られ、建物内のベルや警報音が鳴る仕組みになっています。
自動火災報知設備は、主に次のような機器で構成されています。
・ 煙や熱を検知する「感知器」
・ 感知器からの信号を受け取る「受信機」
・ 人が火災を発見した時に押す「発信機」
・ 建物内に火災を知らせる「地区音響装置(ベル)」
火災を早期に発見し、通報・初期消火・避難を促すことが、自動火災報知設備の大切な役割です。
なお、一般的に「火災報知器」と呼ばれるものには、住宅に設置される単独型の住宅用火災警報器と、
事業所や施設などに設置される自動火災報知設備があります。
この記事では、工場・倉庫・事務所・店舗・共同住宅などに設置されている自動火災報知設備について解説します。
煙感知器が誤作動する主な原因
煙感知器が火災以外の原因で作動する背景には、
設置されている環境や建物の状態、機器の劣化などが関係しています。
ここでは、現場で考えられる主な原因を紹介します。
調理の煙や湯気
厨房や給湯室の近くでは、調理による煙や湯気が煙感知器に入り込み、作動することがあります。
特に、炊飯器・電気ポット・食器洗浄機などから発生した大量の蒸気や、焼き物・揚げ物の煙が、
空調の風に乗って感知器まで届くケースがあります。
「火を使っていないから煙感知器は反応しない」とは限りません。
水蒸気であっても、量や感知器との距離によっては作動する可能性があります。
同じ場所で繰り返し作動する場合は、感知器の種類や設置位置が使用環境に合っているか、
専門業者に確認してもらいましょう。
ホコリや虫の侵入
煙感知器の内部にホコリや小さな虫が入り込むことも、誤作動の原因になります。
長期間使用している感知器、工場などホコリが発生しやすい環境では、感知部分に汚れがたまりやすくなります。
また、改修工事や内装工事、清掃作業によって発生した粉じんが、煙感知器に入り込むこともあります。
工事を行った直後から警報が鳴るようになった場合は、
工事中に発生した粉じんや、感知器への衝撃などが影響している可能性があります。
ただし、感知器を自分で分解したり、内部に洗浄剤やエアスプレーを吹き付けたりすることは避けてください。
機器を傷めたり、正常に作動しなくなったりするおそれがあります。
湿気や結露
梅雨や台風の時期、冷暖房を使用する季節などは、建物内に湿気や結露が発生しやすくなります。
感知器の内部に水分が入り込むと、煙と同じような光の変化が生じたり、
電気回路に不具合が発生したりすることがあります。
特に、次のような場所では注意が必要です。
・ 浴室や更衣室の近く
・ 湿気がこもりやすい廊下
・ 冷暖房による温度差が大きい場所
・ 雨漏りが発生している天井
・ 結露しやすい工場や倉庫
雨の日や湿度の高い日に限って同じ場所で警報が鳴る場合は、湿気や水分の影響が疑われます。
雨漏りや水の侵入
屋根や外壁、配管などから水が入り込み、感知器や配線に影響を与えることがあります。
感知器の周囲にシミがある、天井から水が垂れている、雨の日だけ作動するといった場合は、
消防設備だけでなく建物側の修繕も必要になる可能性があります。
水分による不具合は、一時的に復旧しても再発することがあります。
警報を止めるだけで終わらせず、感知器・配線・建物の状態をあわせて確認することが重要です。
殺虫剤・スプレー・煙を使用する作業
くん煙式の殺虫剤、塗装用スプレーなども、煙感知器が作動する原因になります。
工場や倉庫では、溶接・研磨・塗装などの作業によって発生する煙や粉じんにも注意が必要です。
煙や粉じんが発生する作業を行う際は、事前に防火管理者や消防設備業者へ相談し、
建物の消防計画や設備の仕様に沿って対応してください。
感知器を無断で取り外したり、ビニールなどで覆ったまま放置したりすると、
本当の火災を感知できなくなる危険があります。
感知器の汚れや経年劣化
長年使用している感知器は、内部部品の劣化や汚れによって作動しなくなることがあります。
外観に異常がなくても、内部では少しずつ劣化が進んでいる場合があります。
以前より誤作動が増えた、同じ感知器が何度も作動する、点検で不具合を指摘されたといった場合は、
感知器の交換を検討するタイミングかもしれません。
火災報知器の交換時期については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
火災報知器の交換時期とは?交換が必要なサインや寿命の目安を解説
配線や受信機などの不具合
警報が鳴る原因は、感知器だけとは限りません。
感知器につながる配線の断線・接触不良・漏電や、受信機などの不具合によって、
異常が表示される場合もあります。
見た目だけで原因を判断するのは難しいため、何度も警報が鳴る場合や、
復旧操作をしても正常な状態に戻らない場合は、消防設備業者による調査が必要です。

煙感知器が突然鳴ったときの確認方法
警報が鳴ったときに最も大切なのは、最初から誤作動と決めつけないことです。
次の順番で、落ち着いて安全を確認しましょう。

火災が発生していないか確認する
まずは、煙・炎・焦げた臭い・異常な熱などがないか確認します。
少しでも火災の可能性がある場合や、安全に確認できない場合は、無理に現場へ近づかないでください。
建物内の方へ避難を呼びかけ、速やかに119番通報を行います。
「おそらく誤作動だろう」と考えて通報や避難を遅らせることは危険です。
火災かどうか判断できない場合も、迷わず消防へ通報してください。
受信機の表示を確認する
建物に自動火災報知設備が設置されている場合は、受信機に作動した警戒区域が表示されます。
受信機の表示と、周辺に設置されている警戒区域図を確認、どの階・どの区域で信号を受信したのかを特定します。
確認する際は、次の情報を記録しておくと、その後の原因調査に役立ちます。
・ 警報が鳴った
・ 受信機に表示された区域・回線
・ 作動した感知器の場所
・ 当時の天候や湿度
・ 調理・清掃・工事などの作業状況
・ 煙・湯気・水漏れなどの有無
可能であれば、受信機の表示や作動した感知器を写真に残しておくと、消防設備業者へ状況を伝えやすくなります
作動した区域の状況を確認する
受信機で区域を確認したら、安全を確保したうえで、その区域に煙や炎などがないか確認します。
ただし、煙が充満している、焦げた臭いがする、扉や壁が熱いなど、
火災の可能性を示す状況がある場合は、扉を開けたり中へ入ったりしないでください。
安全に確認できない場合も、火災の可能性があるものとして避難と119番通報を優先します。
火災ではないと確認できた後に警報を復旧する
火災ではないことが確実に確認できた場合に限り、建物で定められた手順に従って警報を停止・復旧します。
受信機の操作方法は、メーカーや機種、建物の設備構成によって異なります。
操作に慣れていない方が、表示だけを見て適当にスイッチを押すことは避けてください。
防火管理者や設備担当者など、操作方法を理解している方が取扱説明書や対応手順を確認しながら操作しましょう。
警報を停止した後は、停止状態のままになっていないこと、
受信機が正常な監視状態に戻っていることを必ず確認してください。
警報が鳴ったときにしてはいけない対応
火災を確認する前に警報を止める
警報音が大きいからといって、火災の有無を確認する前に警報だけを止めるのは危険です。
本当に火災が発生していた場合、建物内の方が異常に気づけず、避難が遅れる可能性があります。
必ず安全確認を優先してください。
受信機の電源を切る
誤作動を繰り返すからといって、受信機の電源を切ったままにしてはいけません。
自動火災報知設備が監視できない状態となり、実際に火災が発生しても警報が鳴らなくなる恐れがあります。
一時的に警報音を停止した場合も、原因確認後に必ず正常な監視状態へ戻す必要があります。
感知器を取り外す・覆ったままにする
作動した感知器を取り外したり、テープやビニールなどで覆ったままにすることも避けてください。
感知器が煙を検知できなくなり、建物を利用する方の安全を守れなくなります。
原因が分からない場合は、消防設備業者へ調査を依頼しましょう。
原因を確認せず「たまたま」と判断する
復旧後に警報が鳴らなくなったとしても、原因そのものが解消されたとは限りません。
湿気や雨漏り、配線の不具合、感知器の劣化などが原因の場合、同じ状況になれば作動する可能性があります。
発生日時や作動場所を記録し、必要に応じて点検や修理を行うことが大切です。

誤作動を放置するとどのような問題がある?
誤作動が繰り返されると、建物を利用する方が警報音に慣れてしまう可能性があります。
「また誤作動だろう」
「いつものことだから避難しなくても大丈夫」
と思われるようになると、本当に火災が発生したときの通報や避難が遅れかねません。
また、営業時間中や夜間に警報が繰り返されれば、業務や施設運営にも影響します。
工場・倉庫・店舗・病院・福祉施設・共同住宅などは、従業員や利用者、入居者への説明や対応も必要になります。
火災報知設備は、警報が鳴るだけでなく、必要なときに信頼して行動できる状態に保つことが重要です。
「復旧できたから問題ない」と考えず、誤作動の原因を調べて再発防止につなげましょう。
誤作動を防ぐためにできること
定期的に消防設備点検を実施する
自動火災報知設備は、定期的な点検によって感知器・受信機・ベル・配線などが正常に作動するかを確認します。
点検では、設備の作動状況だけでなく、感知器の汚れや損傷、設置環境なども確認します。
定期点検を実施していても、点検後に建物の使用状況や周辺環境が変わることがあります。
気になる症状がある場合は、次回の点検まで待たずに相談することをおすすめします。
消防設備点検の義務や対象となる建物については、次の記事もご覧ください。
火災報知器の点検は義務?対象となる建物や点検内容を消防設備士が解説
感知器周辺の環境を見直す
誤作動が特定の作業や季節に集中している場合は、感知器周辺環境に原因があるかもしれません。
例えば、次のような変化がなかったか確認してみましょう。
・ 感知器の近くに調理機器を設置
・ 空調設備の位置や風向きを変えた
・ 新たに加湿器や蒸気を発生させる設備を導入した
・ 内装工事や改修工事を行った
・ 天井や屋根から雨漏り
・ 建物の用途や屋根の使い方を
感知器は、建物や部屋の用途に応じて適切な種類・位置を選定する必要があります。
設置環境が変わった場合は、感知器の種類や位置が現在の使用状況に適しているか、
専門業者へ確認を依頼しましょう。
発生状況を記録する
誤作動の原因を特定するためには、いつ・どこで・どのような状況で作動したのかを記録しておくことが有効です。
「雨の日に作動する」「調理時間に鳴る」「同じ感知器が繰り返し作動する」といった傾向が分かれば、
原因を絞り込みやすくなります。
受信機の表示や作動した感知器の位置を記録し、消防設備業者へ共有してください。
よくある質問
Q:誤作動が一度起きただけでも点検が必要ですか?
A:調理中の煙や工事中の粉じんなど、原因が明確で、その後正常な状態に戻っている場合もあります。
ただし、原因が分からない場合や、同じ感知器が繰り返し作動する場合、
復旧しても異常表示が消えない場合は、早めに消防設備業者へ相談してください。
Q:煙感知器は自分で掃除できますか?
A:感知器の外側に付着したホコリを、取扱説明書に従って取り除ける場合はありますが、
分解や内部の清掃は行わないでください。
誤った方法で清掃すると故障や感度の変化につながる可能性があります。
汚れがひどい場合や内部への異物混入が疑われる場合は、専門業者による確認が必要です。
Q:警報音を止めても問題ありませんか?
A:火災ではないことを確実に確認した後であれば、建物で定められた手順に従って警報を停止・復旧します。
ただし、警報音を停止したままにしたり、受信機の電源を切ったままにしたりしてはいけません。
操作方法が分からない場合や、管理会社や消防設備業者へ確認してください。
Q:住宅用火災報知器が鳴った場合も同じ対応ですか?
A:住宅用火災警報器は、建物全体の受信機とつながっていない単独型や、複数台が連動するタイプなどがあります。
まず火災の有無を確認する点は同じですが、警報の停止方法や異常音の意味は製品によって異なります。
製品の取扱説明書やメーカーの案内を確認してください。
火災かどうか分からない場合は、迷わず119番通報を行いましょう。
煙感知器の誤作動・不具合は一電機へご相談ください
煙感知器の誤作動は、湯気やホコリなど一時的な原因で発生することもあれば、
感知器の劣化、雨漏り、配線や受信機の不具合などが関係している場合もあります。
警報が鳴ったときは、最初から誤作動と判断せず、まず本当に火災が発生していないかを確認することが大切です。
火災ではないことを確認して復旧できた場合も、
原因が分からないまま放置すると、再び警報が鳴る可能性があります。

一電機では、煙感知器をはじめとした自動火災報知設備の点検・修理・交換・改修工事に対応しています。
「同じ感知器が何度も作動する」
「受信機に異常が表示されている」
「設備が古く、交換したほうがよいか分からない」
「建物の使用環境に合った感知器か確認してほしい」
といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
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